ようやく緊急事態宣言も明けて、何やらいろいろと動き出しそうな気配ですね。

長かった~。といってもまだまだ油断は禁物ですが。

今日は「信頼」ということについて考えてみたいと思います。

『信頼の構造』で有名な、山岸俊男さんの『日本の「安心」はなぜ、消えたのかという本を読んだ時に、とても面白いなと思ったことがありました。

日本が「安心社会」から「信頼社会」に移行していく中で、

さまざまな歪みや社会的ジレンマを起こしているということでした。

特に日本はもともと「安心社会」であったので、

「信頼」を特に必要としていなかったとか。

それがグローバル化も相まって、「信頼社会」への移行していく中で問題が生じてきた

という話でした。

日本の企業でわかりやすく例に挙げると、「年功序列」が崩れたことで、

「安心社会」が崩壊し、成果主義が台頭してきて、

「信頼社会」への変換を余儀なくされたといえる事例かもしれませんね。

 

また、日本人とアメリカ人を対象にした「他人を信用できるか」

という調査をしてみたところ、

「たいていの人は信頼できる」とアメリカ人が答えたのは47%だったのに対して、

日本人では26%だった。

日本人よりアメリカ人の方が他人への信頼感が強いということでした。

私は逆だと思っていたので、これには驚きました。

とにかく示唆に富んだおもしろい本だったので、

興味がある方はぜひ手に取ってみてください。

 

コロナ禍のコミュニケーション

さて話は変わりますが、長引くコロナ禍で、

職場でのコミュニケーションのあり方もだいぶ変化してきました。

できることが以前と比べて格段に増えてきたりしていますが、

反面、いろいろと不具合も出てきているという話をよく耳にします。

色々な統計データを見てみましたが、

その中でも一番はコミュニケーションが希薄になったということのようです。

恐らくもっとも減ったのは対面(実際に会って)でのコミュニケーションだと思いますが、

対面でのコミュニケーションが不足してくると、

今回のテーマでもある「信頼」あるいは信頼関係にも大きく影響してくるんですよね。

特に、周りと協力するチームワークの発揮が難しくなってきます。

組織というのは、本来お互いの長所と短所を知った上で、

協力してエネルギーを出して行こうというのが基本になると思うので、

周りと協力するチームワークを存分に発揮できないという環境だと、

パフォーマンスもやっぱり落ちゃうような気がしますよね。

まあ、たまに「全部リモートでいいや」という人もいるので一概には言えませんが・・・

なので、こういった時期こそ、

「信頼」とか「コミュニケーション」とかいったことについて、

今までよりは少し意識した方がいいのかも知れません。

「信頼」は何よりも組織活動のベースになる概念なので、

どんなことが「信頼」につながっていくのかを、

当社の教育理論の一つ、「RICA連鎖体系」ベースにして考えてみます。

 

グループを活性化するRICA連鎖という概念

いきなり「RICA連鎖体系」なんて訳の分からない言葉が出てきましたが、

そんなに難しくありません。

何かというと「RICA」は、アルファベットの頭文字を表していて、

「Relationship(仲間・信頼づくり)」

「Involvement(巻き込み)」

「Commitment(納得、受け入れ、献身)」

「Action(行動する)」

の4つを表しています。

つまり、この4つがうまく連鎖していくことで、

グループが活性化していくという考え方です。

「連鎖」という言葉を使っているところが(手前)ミソですね。

もともと当社はクロスフィールドという野外研修を、

創業当時の1979年より長いことやらせていただいていますが、

その研修の中で体感できる要素として、

昔の先生なんかはよく「RICA連鎖」について講義していました。

話が長くなりそうなので、最初の「Relationship」だけ今回は取り上げてみます。

Relationship(仲間づくり、信頼づくり)

グループ活性化の要素の1番目は、「Relationship」=信頼づくりです。

お互いの「信頼」なくして、活性化なんてありえませんよね。

これをを良くする要素として、下記が大事ですよ~と言っています。

・ホンネの関係づくり

・仲間意識

・身内意識

・生きた関係づくり

また、感情、情緒的な面も含んだ関係、論理以前の何でも言える人間関係、

非合理を容認できる人間関係、損得勘定ぬきのつき合い

これらが「Relationship」を高めますよと言っています。

まあ当たり前のことなんですが、

友達同士や自分の趣味などのコミュニティではできていても、

以外と職場ではできてないことが多いんですよね。

これに対して、

一度話したからといって、仲間意識ができるわけではない。

日常からのコミュニケーションの濃度、

その積み重ねで徐々にできてくる。と説いています。

そのためには、下記の4点が重要だといっています。

①集まる

②話し合う

③相手のいうことを聴く

④(お互いに)やる、実行する

このくり返しが、生きた仲間関係、信頼関係を作るということです。

単純で当たり前といえば当たり前なことですが、コロナ禍の今、

あらためて①~④の職場の状態を見直してみるのも良いかも知れませんね。

例えば、「集まること」・・・コロナ禍前に比べてリモートワークになり、

飲み会などの交流の機会も減った為、70%減 とか。

「集まるな」と言われているコロナ禍ですから難しいですが・・・

大切だと言われながらも「信頼」を形づくるのは、

今の時代そんなに簡単ではないですよね。

では、次回は、Involvement(巻き込み)以降について書いていきたいと思います。