『階層別研修』とは
『階層別研修』とは、組織内の異なる階層や役職に応じて行われる、従業員の能力を向上させるための研修です。
一般的な組織(企業)では、管理職・監督者の立場にある社員と、中堅・リーダークラス、一般社員、新入社員などの従業員では、仕事を進めるのに必要なスキルや知識が異ってきます。階層別研修は、これらの階層ごとに特定のトピックやテーマに焦点を当てた研修プログラムを提供することで、各階層の役割や責任を適切に果たすための能力を開発することを目的としています。
階層別研修は、多くの組織において等級別などの人事制度を元に行われていますが、異なる階層の従業員がそれぞれの役割を最大限に果たすことができれば、組織はより効果的かつ効率的に運営され、社員にとっても、自身のスキルやキャリアの成長につながる機会となります。
階層別研修の実施に大切なこと
◆求める人材像の明確化
階層別研修を実施する際には、まず第一に自社が求めている人材像を明確にする必要があります。各階層(等級)における能力要件やコンピテンシーモデルなどを参考に、自社にマッチする人材像を定め、各階層の従業員がその人材像に近づくための教育研修を構築する必要があります。
◆研修ニーズの把握
人材像が明確化できたら、次に研修ニーズを把握することが大切です。各階層の役割や責任に応じた研修のニーズを明確に把握するために、従業員のフィードバック(アンケートや調査)やパフォーマンスの評価、組織の戦略目標などを基にした評価を行います。こうすることで、階層ごとのスキルや能力の強化が必要な領域を特定していきます。
◆研修目標の設定
研修ニーズを把握し、それぞれの階層ごとに強化すべき能力やスキルの特定ができたら、研修の目標設定をしましょう。例えば、管理職向けの研修では、マネジメントスキルの向上や戦略的思考の育成等を目標にしたり、マネジメント能力としてのコミュニケーションスキル開発等を目標とすることもあります。組織が求める人材像によって目標は異なるため、自社にマッチする目標を設定します。
◆研修プログラムの設計・計画
各階層に適した研修プログラムを設計します。研修の内容や形式、トレーニング方法、学習資料などを検討します。対話型のワークショップ、ケーススタディ、シミュレーション、ロールプレイ、オンライン学習モジュールなど、多様な学習手法を組み合わせることが効果的です。
◆講師・トレーナーの選定
研修プログラムを実施するための講師やトレーナー、ファシリテーターを選定します。専門知識や経験を持ち、研修の目標を達成するための効果的な教育方法を提供できる講師を選定してください。
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主な階層別研修の例
『階層別研修』の対象は全社員になりますが、次の図のような研修構成が一般的です。
もちろん企業によってさらに細かい区分で実施している場合もありますが、人事制度や等級制度とマッチする形で研修を構成します。
各階層の研修テーマ例を表で紹介します。階層ごとに研修のトピックやテーマが変わります。
経営幹部研修 |
・企業理念浸透、組織文化・風土づくり |
管理者研修 | ・マネジメントの基本 ・管理者の役割 ・部門戦略の立案 ・企業理念浸透、組織文化・風土づくり ・管理者のコミュニケーション技術 ・部下育成と動機づけ ・組織に変革をもたらすリーダーシップ ・生産性を高める心理的安全性の高め方 ・コーチングスキル ・ロジカルシンキング |
中堅社員研修 |
・リーダーシップ、フォロワーシップ |
若手社員研修 |
・経験したことのふり返りと次の成長へ向けたステップアップ |
新入社員研修 | ・社会人へのマインドセット ・仕事に対する主体性や積極性の開発 ・ビジネスマナーの基礎 ・業務の基礎知識やスキル習得 ・上司・先輩・同僚とのコミュニケーション ・チームで働くことやチームワークの理解 |
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・小集団活動の意義・必要性(目的の理解) |
テーマ別研修 |
・コンプライアンス |