信頼について考えてみるの2回目です。
前回の記事では、コロナ禍でコミュニケーションが変化してきたことや、
それを踏まえて信頼について考えていく中で、
RICA連鎖体系のR(Relationship)を取り上げました。
今回は、その後に続くICAについて見て行きたいと思います。
Involvement(まき込み)
職場では、
「リーダーは、周囲をよく巻き込んで、
メンバーを同じ方向に向かせて、目標に向かって突き進む」
なんていわれたりしますが、
言うは易く行うは難しで、
この他人を「巻き込む」という行為は、簡単ではありません。
前向きなメンバーを巻き込むのは兎も角、
どちらかというと消極的なメンバーに対して、
何か動いてもらうように働きかけなければいけない時は、
リーダーは大変なエネルギーを要します。
研修業界では、
ファシリテーションスキルやネゴシエーションスキルなんかが
有効なスキルといわれていて、
それはまあ自分も業界にいるので有効性としては理解できるのですが、
例え一定のスキルが身についていたとしても、
消極的なメンバーにはたしてうまく行くか・・・
そんなに簡単に行かないぞと(笑)
言いたくなるわけですよ。
相手は自分とは違う人間なので。
スピノザ的にいうと、「できない=やりたくない」に対して、
やってもらわないといけない時もあるわけですから・・・
まあネガティブな話をしてもあまり意味がないので、
一応RICA連鎖のInvolvement =人を巻き込むための理屈を見て行きます。
①論理的アプローチ(認知的説得)だけでは効果がない
情緒的アプローチ(情緒的説得)、人間的接触を通してはたらきかける
これは、昔から変わらずその通りですね。
論理で説いても人は仕方なくしか動いてくれません。
②相手に受け容れようとする態度ができるまでは時間とエネルギーが必要
気長にじっくり構えること
これもその通り。
お世話になっている先生に、「気長に」が人間関係のコツだと言われたときには、
ハッとした覚えがありますね。
③アプローチ(説得)は、行動を伴ったほうが効果的なことが多い
「まず、いっしょにやってみよう」と共に行動し、その中で心理変化が生じる
言葉だけで色々やり取りすると考え方の違いで揉める可能性があります。
それよりは、「私も一緒にやりますから」と伝えて、
一緒にやっていく中で「あ、意外とできるかも」と相手に思ってもらう方が
効果的な気がします。
つまりこれらの理屈は全て相手の「信頼」が前提にあってはじめて成り立つ
とも言えそうです。
長所と短所
このようにInvolvementは、
今は「巻き込み力」なんて言葉もあるぐらいで、
社会人必須のアビリティになってきたと言えそうですが、
実践すること自体がとても難しいことが分かります。
けれどもグループ活性化の要因、ひいては信頼関係にも繋がることを考えると、
軽視はできませんね。
さて、そこで人を巻き込むときに考えた方が良いのが、
「長所」と「短所」です。得手不得手といってもいいですが、
人間には誰でも長所と短所があります。
だから、相手の長所と短所をまず知ることが大事です。
そして、その相手の長所を汲んだお願いだったら、
相手も喜んで引き受けてくれる確率は高い=巻き込める可能性大 です。
例えば、同じグループに細かい作業が苦にならない人がいた場合には、
その人に、緻密な分析を必要とする作業を担当してもらうえば、
結構楽しんでやってくれることが多いような気がします。
がしかし、問題は短所や不得手の方で、
相手の苦手なこと(つまりどちらかというと嫌こと)を頼まなければいけない時は、
どうしたら良いのか?ここが苦労する所ですし、肝心な所です。

巻き込みの第一歩は分割方式
短所や不得手なことを、頼まなければいけない場合は、
仕事をしていれば少なからずあると思います。
その際のポイントはズバリ、「作業分割方式」です。
つまり、苦手なことを丸々全部その人のお願いするのではなく、
一部のみをお願いするということです。
例えば、資料作りなどで、パワーポイントが苦手という人がいたとします。
「この資料、全部お願い。」だと、
相手は苦手なので心の中では「嫌だな~やりたくないな~」と思ってしまいます。
しかし、(作業)分割方式で、
「この資料の、この部分だけ作ってもらえませんか?」
「やり方がわかなければ、いつでも聞いてください」
という全体から一部を引っこ抜いてお願いすれば、
相手も少しは納得してやってくれる可能性があると思います。
これが、巻き込む際のコツといっても良いかも知れません。
あと、もう一つは頼む側の謙虚な態度ですね(笑)
相手がなかなか動いてくれなくて悩んでいるという場合には、
一度「分割方式」で巻き込みを試行してみてはいかがでしょうか。
やり取りの中で、
Relationshipに連鎖反応して、
信頼関係に繋がっていくかも知れません。
もちろん人によって効果はさまざまだと思いますが、
一定の効果は見込めると思います。
またまた話が長くなってしまったので、
Commitmentについては、また次回にしたいと思います。