小集団活動事務局の役割
小集団活動の事務局の仕事は、一言でいうと「活動を活性化に向けて推進すること」ですが、 突然事務局に任命されて、
具体的に何をどうしたらよいのか分からないという方も多いようです。
ここでは、小集団活動事務局が何をしなければらなないのかについて簡単に紹介します。
1.企業によって活性度に著しい差があるのはなぜか?
小集団活動は、どこの企業でも同じような目的で導入しているのに、結果に著しい差が出ています。
活発にいきいきとやっているところ、それほどでもないところ、全くやる気がなく形骸化しているところ、といろいろです。
これほど結果に差の出る活動は他に類を見ません。
なぜでしょうか。
活発にやっている企業では、社内の人が
・この活動をなぜやるのか
・この活動で何をやるのか
・この活動はどうやるのか をよく知っている上に、
社内の各層の人びとが、この活動を活発にするための、自分の役割をよく知り、それに則って行動しているからです。
すなわち、
・トップ : 理念、目的を明確に示し、折にふれ姿勢を示す
・管理者 : 具体的な支援活動
・監督者 : 具体的な支援活動
・リーダー : リーダーシップを発揮し、衆知を集めて効果的活動を進める を実践しています。
これに対し、不活発な企業では、これらが不十分で、この差が明暗を分けています。
そして、これらの事柄を社内に熟知させる手段を講ずるのは事務局の役目になります。
2.事務局の役割
社内の小集団活動が活発に推進されるよう、必要な手を打っていくことが事務局の役目であり、おおむね次のような内容になります。
(1) この活動を推進していくための制度や手続きを正しくプログラムする
(2) 社内の人に活動の意義と必要性を理解してもらい、このプログラムを正しく使用するスキルをもたせる
(3) この活動に関する短期、長期計画を立案する
(4) 社内の活動状況(活性度)を評価し、不具合は是正策を講ずる
(5) 事務局としての定例業務
このうち(1)~(3)は導入準備期の事務局としての必須の任務であり、(4)~(5)は、それに加えて導入後の経験ある事務局の役目になります。
なお、職場第一線のグループ・サークルを直接支援・指導して、よい活動、やりがいのある活動を実施させ、活発なグループ・サークルに育てていくのは、あくまで担当職制(支援者)の役目であることを忘れてはいけません。
3.導入準備期における事務局の役割
(1)準備期に行うべき事項
この準備期に行うべき事項のうち、事務局として特に配慮すべき点を以下に示します。
①マニュアル類の作成について
小集団活動は実践プログラムであり、導入時点で上司が、その理念、目的を説明しても、すんなり理解してもらえないところがあります。
よい活動を行い、成功体験を通して体得し、初めてわかる、という面が強いのです。
したがって導入時に、上司も説明しにくいものなのですが、マニュアルがあると大変スムーズにいきます。よいマニュアルは必須のものであり、それを念頭におき作成する必要があります。
作成すべきマニュアル
a.一般用マニュアル
社員全員に配布します。内容は、活動の趣旨、必要性、進め方、運営組織、提案のしかた、表彰など、
活動に必要なことはすべて盛られており、このマニュアルを見れば活動は進められる、というものです。
b.管理者用マニュアル
管理者に配布します。内容は管理者の役割、とくにその心掛けと、支援活動の具体的内容を中心にしたもので、管理者の行動指針になるようなものです。
c.リーダー用マニュアル
管理者ならびにリーダーに配布します。リーダーの具体的役割を細かく明示したもので、リーダーが上手にグループ・サークルをまとめていく上で 必要な心掛け、とるべき態度、やり方などを記載します。
②各層の教育について
小集団活動を導入することは、新しいマネジメントに取り組むことなので、社内の指導層が充分理解してからでなければうまくいくはずはありません。
そこに導入準備教育の必要があり、できれば次のように実施することが望ましい。
・役員対象 | 講演 | 3h |
・部長、次長対象 | 研修 | 5~6h |
・課長、監督者対象 | 研修 | 1日または2日 |
・リーダー | 研修 | 1日または2日 |
③キャンペーンの実施 その他について
小集団活動は永続的に活発に続けていくべき活動なので、キャンペーンの実施段階において、標語、ポスターなどを募集し、キックオフに向けて社内の関心とやる気を高め、「会社もやる気だなぁ」「この活動には本気で取り組んでいるな」と盛り上げていくことも事務局の役目です。
キックオフに向けて
・標語、ポスターの募集
・立看板、吊下げ看板などの作成
・モニュメントなどの作成(原案募集も良い)
・祝電などの依頼
・その他
キックオフ当日には
・トップの社内放送
・祝電の社内放送
・記念品配布
・社内報特別号(トップ、幹部、リーダーなどの抱負その他掲載)
・その他
挙げていけばきりがないのですが、要は会社がこの活動にかけている期待と熱意の大きさを示すとともに、「皆さんもがんばってほしい」という希望を形に表し、理解と協力を得るようにすることが大切です。
4.すでに導入し活動実施中の事務局の役割
(1)社内活動の活性度の評価と不具合の是正
現在の社内の小集団活動は、
・その活発さにおいて
・その内容において
・その成果において
計画どうりか、計画以上か、以下か、を評価し、計画以下なら是正措置を講ずるのは事務局の役目です。
そのため、事務局は、
・小集団活動の評価能力をもつこと
・不活発な部門の是正措置を講じ得ること
①社内の小集団活動の評価をどう行うか
小集団活動の導入目的は一般に、
・組織の活性化
・業務改善(効率化)の推進
の2つであるから、評価も「やる気」と「成果」について行います。
a.「やる気」は
・提案件数
・ミーティング時間
・メンバーの参加意欲
b.「成果」は
・目標達成件数
・活動による経済効果
・高評価活動の割合
など(またはその推移)を尺度として評価することが一般に行われています。
②評価に必要なデータ、情報をどう集めるか
これらの評価に必要なデータ、情報は、毎月きちんと定量的に把握できるよう、自動的に事務局に送られてくるよう、資料提出をルーチン化しておくことが必要になります。
これらの報告と、日常の観察結果から社内各部門の活性度は充分評価できるようになります。
③不活発な部門をどう是正するか
是正するのはライン(職制)の長の責任であり、事務局は情報を提供し、不具合を知らせることです。
部門間の比較できるデータを送り、データに語らせる。
・課が悪く、課長が無関心なら上司の部長から注意してもらう
・課長に注意するのは部長の責任
・軽度なら直接その課長へ注意するもよい
何が悪いか(データで) どうしたらよいか(必要ならアドバイス)
是正のポイントは職制の管理者です。
管理者がやる気にならなければ活動は活発にならないことを事務局はPRする必要があります。
5.トップのスタッフとして短期、長期の企画立案業務
(1)短期計画(期または年度計画)の立て方
導入後、年数を経た企業では、期または年度計画を立案するに当って、その時の活性度、社内外の状況、トップの意向などを考慮に入れ、
おおむね次のように計画します。
a.活動が活発に展開され、引きつづきこれを延長させたい場合
・原則的には従来と同様の期または年度計画を立てる
・ただし計画の具体的内容は、できるだけ新鮮味を出していく
(とくにイベント行事の中味、動機づけ施策など)
・活発な他社の動向も参考にする
b.活動が不活発でマンネリ傾向が出はじめている場合
・不活発の原因を調べ、それを取り除くための研修会、勉強会の計画にポイントをおく
・トップニーズによる全社運動(効率化、ムダ排除といった)など脚光を浴びている運動との効果的な連係など
も計画する
・活発な他社との交流(管理者、リーダー)
・不活発な程度が大きい場合は、トップを動かし、トップの活動審査、グループ巡視、管理者への講話、なども
考える
・事務局自身も自身のレベルアップのためにセミナーや交流会などに積極的に参加する
・目先を変えた新鮮な施策(他社の行事や施策を参考に)を、できるだけ取り入れていく
(2)長期計画の立て方
ほぼ3年先を目途に社(所)の小集団をどうもっていくか、ねらい(目標)とそのプロセス計画を立てます。
活動の現況、上司の意向、他の活発な企業の動向などをもとに立案します。
大まかに事務局の役割について取り上げてきました。ご参考いただければ幸いです。